支給停止・給付制限・失権

支給停止・給付制限・失権

支給停止

障害基礎年金の支給停止の事由は次のとおりです。
1.併給の調整(国民年金法第20条)
・国民年金(老齢基礎年金・遺族基礎年金・障害基礎年金など)の年金給付は、国民年金の他の年金給付又は被用者年金(厚生年金等)各法による年金給付と併給されない。
・国民年金の年金給付と被用者年金各法の年金たる給付は、同一の支給事由によるものは併給される。
(例外)
・障害基礎年金(受給権者が65歳以上である場合に限る。)は、老齢厚生年金、遺族厚生年金、退職共済年金、遺族共済年金と併給される。
2.20歳前障害基礎年金の支給停止(国民年金法第36条の2)
(1)20歳前の傷病による障害基礎年金は、受給権者が次の①~④に該当するときは、その該当する期間、その支給を停止する。
①恩給法に基づく年金たる給付、労働者災害補償保険法による年金たる給付その他年金たる給付であって政令で定めるものを受けることができるとき。ただし、これらの給付が全額支給停止されているとき(その支給停止が労働基準法による障害給付又は遺族補償が行われるものであるときを除く。)は、20歳前の傷病による障害に基づく障害基礎年金は支給停止されない。
②刑事施設、労役場その他これに準ずる施設に拘禁されているとき(厚生労働省令で定める場合に限る。)。
③少年院その他これに準ずる施設に収容されているとき(厚生労働省令で定める場合に限る。)。
④日本国内に住所を有さないとき。
(2)20歳前の傷病による障害基礎年金は、受給権者の前年の所得が、その者の所得税法に規定する控除対象配偶者及び扶養親族の有無及び数に応じて、政令で定める額を超えるときは、その年の8月から翌年の7月までその額に応じて、その全部又は2分の1(子を対象とした加算額が加算された障害年金にあっては、その額から当該加算額を控除した額の2分の1)に相当する部分の支給を停止する。
3.業務上の傷病による支給停止(国民年金法36条1項)
障害基礎年金は、受給権者が当該傷病による障害について、労働基準法の規定による障害補償を受けることができるときは、6年間、その支給を停止する。
4.症状が軽快したときの支給停止( 国民年金法36条2項)
障害基礎年金は、受給権者が障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなったときは、その障害の状態に該当しない間、その支給を停止する。
5.第三者行為災害による損害賠償を受けたときの支給停止(国民年金法22条2項)
障害若しくは死亡又はこれらの直接の原因となった事故が第三者の行為によって生じた場合において、受給権者が第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、政府は、その価額の限度で、給付を行う責めを免れる。(最長24年)

 障害厚生年金の支給停止の事由はつぎのとおりです。
1.業務上の傷病による支給停止(厚生年金保険法 第54条)
障害厚生年金は、その受給権者が当該傷病による障害について、労働基準法の規定による障害補償を受けることができるときは、6年間、その支給が停止される。
2.障害状態が軽快したときの支給停止( 厚生年金保険法 第54条の2)
受給権者が障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなったときは、その障害の状態に該当しない間、その支給が停止される。ただし、その支給停止された障害厚生年金(その権利を取得した当時から引き続き障害等級の障害等級の1級又は2級に該当しない程度の障害の状態にある受給権者に係るものを除く。)の受給権者に更にその他障害が発生し、その他障害の障害認定日以後65歳に達する日の前日までに、前後の障害を併せて併合した程度が1級又は2級に該当したときは、その支給停止が解除される。
3.同一の支給事由に基づく障害共済年金の受給権を有するときの支給停止(  厚生年金保険法 第54条の2第1項)
障害厚生年金(その権利を取得した当時から引き続き障害等級の1級又は2級に該当しない程度の障害の状態にある受給権者を除く。)は、その受給権者が当該障害厚生年金と同一の支給事由に基づく他の被用者年金各法による障害共済年金の受給権を有するときは、その間、その支給を停止する。

給付制限

障害基礎年金の給付制限の事由は次のとおりです。
1.協力義務違反(国民年金法 第72条)
年金給付は、次のいずれかに該当する場合においては、その額の全部又は一部につき、その支給を停止することができる。
①受給権者が正当な理由がなくて、第107条第1項の規定による命令に従わず、又は同項の規定による当該職員の質問に応じなかったとき。
②障害基礎年金の受給権者又は第107条第2項に規定する子が、正当な理由が無くて、同項の規定による命令に従わず、又は同項の規定による職員の診断を拒んだとき。
2.書類等の提出義務違反(国民年金法 第73条)
受給権者が、正当な理由がなくて、第105条第3項の規定による届け出をせず、又は書類その他の物件の提出をしないときは、年金給付の支払いを一時差し止めることができる。
 
障害厚生年金の給付制限は次のとおりです。
1.協力義務違反(厚生年金保険法 第77条)
年金たる保険給付は、次の各号のいずれかに該当する場合には、その額の一部又は全部につき支給を停止することができる。
①受給権者が正当な理由がなくて、第96条第1項の規定による命令に従わず、又は同項の規定による職員の質問に応じなかったとき。
②障害等級に該当する程度の障害の状態にあることにより、年金たる保険給付の受給権を有し、又は第44条第1項の規定によりその者について加算が行われている子が、正当な理由がなくて第97条1項の規定による命令に従わず、同項による診断を拒んだとき。
③前号に規定する者が、故意若しくは重大な過失により、正当な理由がなくて療養に指示に従わないことにより、その障害の回復を妨げたとき。
2.書類等の提出義務違反(厚生年金法 第78条)
受給権者が、正当な理由が無くて、第98条3項の規定による届け出をせず、又は書類その他の物件を提出しないときは、年金給付の支払いを一時差し止めることができる。

失権

障害基礎年金の失権の事由は次のとおりです。
障害基礎年金の受給権は、次の①~④のいずれかに該当するに至ったときは、消滅する。
(国民年金法 第51条)
①死亡したとき
②厚生年金保険法に規定する3級以上の障害等級に該当する程度の障害の状態にないものが、65歳に達したとき。ただし、65歳に達した日において、当該障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなった日から起算して、そのまま3年を経過していないときを除く。
③ 厚生年金保険法に規定する3級以上の障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなった日から起算して、そのまま該当することなく3年を経過したとき。ただし、3年を経過した日において、当該受給権者が65歳未満であるときを除く。
④前後の障害を併合した障害の程度による障害基礎年金を受ける場合において、前発障害に基づく障害基礎年金の受給権が消滅するとき。

障害厚生年金の失権の事由は次のとおりです。
障害厚生年金の受給権は、次のいずれかに該当したときは、消滅する。
(厚生年金保険法 第53条)
①受給権者が死亡したとき。
②障害等級に該当する障害の状態にない者が、65歳に達したとき。ただし、65歳に達した日において、当該障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなった日から起算して、そのまま3年を経過していないときを除く。
③障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなった日から起算して、そのまま該当することなく3年を経過したとき。ただし、3年を経過した日において、当該受給権者が65歳未満であるときを除く。
④前後の障害を併合した障害の程度による障害厚生年金(いわゆる併合認定による障害厚生年金)の受給権を取得した場合には、従前の障害厚生年金の受給権は消滅する。
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